HOT WHEELS誕生から2年後の1970年にマテル社よりリリースされたシズラーは、当時としては画期的な充電式の小型電動カーでした。小型のモーターとバッテリーを積んだシズラーは専用の充電器でチャージを行い専用のコースを走らせて遊ぶ"おもちゃ"です。サイズはHWとほぼ同じでレッドラインのタイヤをはいています。1970〜1978年の間にリリースされたシズラーは以下のようなシリーズ展開を行っていました。 ( )は日本でのシリーズ名です。

●1970〜1972 Sizzler(シズラー) スタンダードタイプのシズラーです。

●1973 Fat Daddy(シズラーDX) 従来のシズラーより大きなタイヤ、強力なモーターを搭載しています。

●1976 SizzlerU(シズラー銀) スタンダードタイプのシズラーから5台とVANTOMを加えた計6台がクローム塗装されて リリースされました。

●1978 Sizzler Light(シズラーライト) 新シリーズ計6種で構成されたシズラーは走行中に光るライトを搭載してます。


そして2006年、シズラーが当時のスタイルそのままに完全復活しました。アメリカのチェーンストアー"ターゲット"からのリリースです。人気のクーダ含む8台とコースセット他アクセサリ類までの復刻は、期待以上の出来でした。更に2007年は夢のファーストエディションが登場するなど、まだまだシズラーの炎は消えることはないでしょう。

 


シズラーの魅力はやはりその洗練されたそのデザインにあると思います。 30年もの時間が経過しているにも関わらず全く古さを感じさせないのが素晴しい。 プラスチック素材だからこそ表現できる微妙なボディラインがたまりません!ダイキャストモデルはある部分でリアルさを求めたりしますが、シズラーはモーターを積んで自走することが大前提となっているので、HOT WHEELS以上にスピード感を重視した大胆なデザインになっているのではないでしょうか。それとシズラーの最大の魅力はあの太く黒いコースセットでしょう。オレンジのシングルコースもいいのですが、広いコースを自由にデットヒートしながらレースさせるのがいいですね。


昭和30〜40年前半生まれの多くの人には「シズラー」は手の届かない高級なおもちゃだったのではないでしょうか。当時私の周りでシズラーを持っている友人は一人もいませんでした。親に買ってくれとねだる以前の存在でありカタログを眺めて憧れていました。HOT WHEELS、マッチボックスを集めたりコースを走らせたりといったのが限度でシズラーはカタログを見るだけの憧れのおもちゃだったのです。よく的屋のくじ引きの特賞として「シズラー銀」のコースセットが堂々と置かれていましたが、永遠に当たらない客寄せ賞品だったのでしょう。その頃の記憶をどこかで引きずったまま大人になってしまった私は、いまだにシズラーを追い求めているのでした。

 


学生の頃、昔のHOT WHEELSを見つけて喜んでいたこともありましたが、本格的に火がついたのはHOT WHEELSの25周年復刻版を横浜MOON EYESで見つけてからです。それからはHWを探してショップ巡りを始めましたが、ミニカ(赤箱)などが興味の対象でした。そんな中でHWのVintageを扱う吉祥寺の「CARS」でふと目に付いたのが塗装の剥げ上がった「BOSS 302」だったのです。走りこんだボロボロのシズラーですが、触った瞬間から私の中で眠っていたシズラー魂が蘇ったのでした。それからは、シズラーを追い求める毎日です。シズラーやHOT WHEELSは単なるおもちゃではありません。またコレクションという対象以上にその意味は大きく、これらを通じて出会った友人との交遊が最大の喜びです。

 


シズラー誕生の元となる「Hot Wheels」は、本国アメリカで90年代、日本では99年の再上陸から大人のコレクターを中心に定着しています。それとともにいわゆるサイドラインと呼ばれている関連製品(ランブラー、シズラーなど)への関心も高まってきました。ただしシズラーについては一部熱狂的なファンはいても定着した人気はないのが現状でした。1978年までのオリジナルは、HWと違い現存する車のコンディションが非常に悪くまた、劣化が激しいことがコレクションの障害となっています。 シズラーの後継にあたる「XV-RACERS」は日本でも「スーパーボルテージ」というネーミングで販売さ れていましたが、全く人気がなく叩き売りされている姿をよく見かけました。HW自体が大人のコレクター中心で動いているので、アクション系のサイドラインはやはり評価されず、かといって現代の子供はミニカー系のおもちゃに関心がないようなので苦戦したのでしょう。 そんな中で2006年に突然やってきたシズラーの復活はファンにとって夢のような出来事でした。更に2007年の新金型登場と嬉しいニュースが続いています。

 


いくらミントコンディションのシズラーを手に入れてもまず走りません。 中のバッテリーは劣化して液漏れしていることが多く、金属部分は青錆でやられちゃってるケースがほとんどです。バッテリーの液漏れが原因で塗装が剥げてしまうので、古いバッテリーはすぐに外すべきでしょう。シャーシの取り外しは簡単で、シャーシのかしめ部分のまわりを先の尖ったドライバーなどでまわりを削ると外れます。中のバッテリーは手で取り外すことができます。 タイヤの交換も簡単です。リヤタイヤは指で引っ張れば簡単に外れます。フロントタイヤに関しては車軸ごと2つ一緒に外します。タイヤだけを取り外すことは出来ません。 このサイトを立ち上げてから多くのシズラーファンと出会い再生術を教えていただいたことは最大の喜びです。メンテナンスの詳細は別途まとめて報告する予定ですが、最近発見したリン酸系の錆落し剤でアトムの「おち太郎」はお勧めです。 容器にこの液を入れてタイヤとボディを外したシャーシとモーターを漬け込むと瞬時に錆が泡をたてながら分解します。 その後水で洗い流してからよく乾かせばOKです。

 

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